クアルコム(Qualcomm)の車載戦略

企業分析

✔️ 車載戦略の狙い

 全世界の25を超える自動車メーカが通信とインフォティメント用半導体にクアルコムのチップを採用しています。スマホ市場ではアップルなど半導体を自社で開発する流れから、スマホ向けチップの売り上げが低下することが見込まれています。そのため現在は売上比率の低い自動車、IoT分野を次の成長の柱にせたいと考えています。

スナップドラゴン・デジタル・シャシー「Snapdragon Digital Chassis」 

 自動車メーカーが好みに合わせて最小できる「プラットフォーム」群です。クアルコムはプラットフォームを組み合わせて自動車業界の顧客に最適なソリューション提案しています。 

  • Snapdragon Cockpit: デジタルコックピット 、インフォテインメントシステム 
  • Snapdragon Auto Connectivity: テレマティクス(LTE、5G、セルラー、V2X) 
  • Snapdragon Ride Platform: ADAS、自動運転機能 

「デジタルコックピット」 

 Snapdragon Cockpitでは現在第4世代のデジタルコックピット用SoCがリリース予定です。世界初の5nmプロセスの車載グレードSoC のSnapdragon8295となります。 

独自ADASシステム:「スナップドラゴン・ライド」 

 クアルコムはヴィオニアから買収したArriverの技術を活用し、独自のADASシステムのプラットフォームを開発に注力しています。ADAS向けAP「Snapdragon SA8540P」とAIアクセラレーター「SA9000P」は5nmプロセスで開発されています。カメラ、レーダー、LiDARなどの処理に16コアCPUと300TOPSを超える高性能AI機能と、低遅延制御を提供します。 

✔️ 自動車業界との提携

ヴィオニア(Veoneer)の買収 

 2021年クアルコムはスエーデンの自動車部品メーカのヴィオニア(Veoneer)を投資会社と共に買収しました。ヴィオニアはカナダの自動車部品大手、マグナ・インターナショナルも買収提案を行っていましたが、クアルコムが最終的に買収戦に勝利しました。クアルコムはヴィオニアのADAS(先進運転支援システム)のセンシングSW開発部門Arriverを吸収し、Arriver以外は自動車部品サプライヤーとしてヴィオニア存続させています。 

ルノーの新会社「アンペア:Ampere 」への出資

 ルノーが計画している電気自動車(EV)新会社「アンペア:Ampere 」にクアルコムが出資することを2022年11月に発表しました。ルノーのEV車両のSoftware-Defined Vehicle (SDV) PlatformsにクアルコムのSnapdragon Digital Chassisを採用し開発を進めていきます。 

 ルノーとの技術協力は2018年から始まっていました。2021年9月に発売したEVのMégane E-TechのOpenR Link マルチメディアシステムに、クアルコムのSnapdragonコックピットプラットフォームを採用していました。今後Snapdragon Digital Chassis ソリューションを採用することで、デジタル コックピットだけではなく、コネクティビティ、先進運転支援システム (ADAS) もクアルコムがサポートします。

https://www.qualcomm.com/news/releases/2022/11/qualcomm-and-renault-group-intend-to-extend-their-strategic-coop

ホンダ、ボルボ、ルノーとの提携 

 2022年のCESで「Snapdragon Cockpit」プラットフォームを採用する新たな自動車OEMが公表されました。ボルボは次期EV車SUVと、傘下の高性能EVブランドのPolestar 3に採用します。ホンダも新型車は2022年後半に米国で発売される次期モデルに採用する計画です。ルノーはすでに2021年9月に自社EVのMégane E-Techで採用しています。 

蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xpeng)、バイドゥ(百度)との提携 

 クアルコムのSnapdragon Automotive Cockpitは中国の新興EV企業である蔚来汽車(NIO) ET7、小鵬汽車(Xpeng) G3、P7、P5に採用されています。またインターネット検索大手のバイドゥ(百度)は、2023年に市場投入予定のEV車にクアルコムのSnapdragonを採用することを発表しました。自動車メーカ以外ではインターネット検索大手バイドゥ子会社のJidu Automobileがクアルコムの技術をベースにデジタルコックピットを開発します。 

GM、BMWとの提携 

 クアルコムは独自のADASシステム「Snapdragon Ride Platform」でも自動車OEMと提携しています。GMは自社の運転支援システムであるウルトラ・クルーズにクアルコムのシステムを搭載すると発表しました。2023年以降にEV車の「Cadillac CELESTIQ」などに採用される計画です。BMWグループとも次世代ADAS/自動運転プラットフォームで競合すると発表しています。 

メルセデス・ベンツとの提携 

 2022年9月メルセデス・ベンツは Snapdragon Digital Chassisを利用して、デジタル コックピットを2023年以降に発売されるメルセデス ベンツ車に導入することを発表しました。Snapdragon Automotive Connectivity Platforms を利用し、超高速接続、ネットワーク応答時間、および常に接続されたエクスペリエンスと安全性をサポートします。 

✔️ 株価

あさって
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