CMC Materials(CMCマテリアルズ)は、2022年7月6日にEntegris(インテグリス)による買収が完了し、現在は独立した上場企業ではありません。CMCが強みを持っていたCMPスラリーと研磨パッドはEntegrisの半導体材料事業へ統合され、CMCブランドからEntegrisブランドへの移行も完了しています。
この記事では、CMC Materialsの現在の位置づけ、買収後に残った事業と売却された事業、CMP材料の役割、Entegrisの最新業績を2026年7月時点の公式情報に基づいて解説します。
CMC Materialsの現在の位置づけ
| 旧会社名 | CMC Materials, Inc.(旧Cabot Microelectronics) |
|---|---|
| 現在 | Entegrisの材料・CMP製品事業 |
| 買収完了日 | 2022年7月6日 |
| 旧本社 | 米国イリノイ州オーロラ |
| 旧証券コード | NASDAQ: CCMP(上場廃止) |
| 現在の上場会社 | Entegris(NASDAQ: ENTG) |
| 主な継続製品 | CMPスラリー、CMPパッド、ポストCMP洗浄、表面処理材料 |
| 主な市場 | ロジック、メモリ、ファウンドリ、シリコン・SiCなどのウェハ製造 |
Entegrisは買収後、CMCブランドの製品、ラベル、資料を段階的にEntegrisブランドへ変更し、2023年8月までに移行する計画を示しました。ブランド変更によって製品の品質、性能、信頼性が変わるものではないと説明しています。
現在の企業情報や投資情報は、Entegrisとは?の記事とEntegris公式資料を確認します。
出典:EntegrisによるCMC Materials買収完了発表、ブランド移行通知
EntegrisがCMC Materialsを買収した理由
Entegrisは半導体製造向けの高純度材料、ろ過、流体管理、汚染制御に強く、CMC MaterialsはCMPスラリーとパッドの大手でした。統合により、研磨材料だけでなく、フィルター、洗浄液、ブラシ、計測、容器までCMP工程全体を組み合わせて提案できます。
- CMP材料の強化:スラリーとパッドの製品群を獲得
- 工程全体の提案:材料、ろ過、洗浄、監視を一体化
- 先端半導体への対応:微細化・多層化で増える平坦化工程を支援
- SiCなど新材料:硬い基板材料向けの研磨技術を拡大
CMPとは何か
CMP(Chemical Mechanical Planarization:化学機械研磨)は、薬液による化学反応と研磨材・パッドによる機械作用を組み合わせ、ウェハ表面を平坦にする工程です。半導体は配線や絶縁膜を何層も形成するため、各層の凹凸を整えないと次の露光・成膜工程の精度が低下します。
| 製品 | 役割 |
|---|---|
| CMPスラリー | 微粒子と薬液で金属・絶縁膜・基板表面を選択的に研磨 |
| CMPパッド | ウェハへ均一な圧力と摩擦を与え、平坦度を制御 |
| フィルター | 凝集粒子や異物を除去し、スクラッチ欠陥を抑える |
| ポストCMP洗浄 | 研磨後に残る粒子、薬液、金属汚染を除去 |
| プロセス監視 | 粒子径、濃度、流量などを測定して工程変動を抑える |
線幅の微細化、3D NANDの高層化、先端ロジックの配線複雑化によって、CMPの回数と要求精度は高まります。スラリーとパッドだけでなく、ろ過・洗浄・計測を含めて欠陥を抑えることが歩留まりに直結します。
現在も続く旧CMC系の主要製品
CMPスラリー
Entegrisはタングステン、銅、アルミニウム、バリア膜、酸化膜、シリコンなど用途別のCMPスラリーを展開しています。さらにSiC、サファイア、GaN、ダイヤモンドなど硬い基板材料の表面をエピタキシャル成長に適した状態へ仕上げるスラリーも提供しています。
CMPパッド
NexPlanar、Medea、EpicなどのCMPパッドは、硬さ、気孔、圧縮性、溝形状を工程に合わせて設計します。ロジック・メモリ向けの200mm・300mmウェハだけでなく、SiC基板向け製品もあります。
ポストCMP洗浄と汚染制御
研磨後のウェハには砥粒や薬液残渣が残るため、洗浄液、ブラシ、フィルター、高純度容器を組み合わせます。CMCの研磨材料とEntegrisの汚染制御技術を一体化できる点が買収の重要な狙いです。
電子薬品事業は富士フイルムへ売却
旧CMC Materialsの事業がすべてEntegrisに残ったわけではありません。Entegrisは2023年10月2日、CMC買収で取得したElectronic Chemicals(電子薬品)事業を富士フイルムへ7億ドルの現金で売却しました。売却資金は負債削減に使うと説明しています。
したがって、現在の旧CMC事業を調べるときは、CMPスラリー・パッドなどEntegrisに残った製品と、富士フイルムへ移った電子薬品事業を区別する必要があります。
Entegrisの最新業績
CMC Materials単独の売上高や株価は買収後は存在しません。現在の規模はEntegrisの連結業績で確認します。
| 期間 | 売上高 | 主なポイント |
|---|---|---|
| Entegris 2025年通期 | 31億9,660万ドル | 前年比1.4%減 |
| 2026年第1四半期 | 8億1,190万ドル | 前年同期比5%増 |
| 同 Materials Solutions | 3億5,110万ドル | 前年同期3億4,140万ドルから増加 |
| 同GAAP営業利益率 | 17.4% | 前年同期15.8%から改善 |
Entegrisは2026年第1四半期の増収について、最先端製造プロセスに関連する需要の増加が主因と説明しました。一方、半導体設備投資、顧客在庫、地域別輸出規制、買収に伴う負債などは継続的な確認が必要です。
出典:Entegris 2025年通期決算、Entegris 2026年第1四半期決算
強みと注意点
| 強み | 注意点 |
|---|---|
| CMPスラリーとパッドの幅広い製品群 | CMC単独の業績は確認できない |
| ろ過・洗浄・計測を含む工程全体の提案 | 半導体設備投資と稼働率の影響を受ける |
| 先端ロジック、メモリ、SiCへの対応 | 材料認定に時間がかかり、顧客集中リスクがある |
| 継続使用される消耗材料による反復需要 | 原材料、環境規制、輸出規制、負債の影響 |
まとめ
- CMC Materialsは2022年7月にEntegrisが買収した
- 旧NASDAQ: CCMPは上場廃止となり、現在の上場会社はNASDAQ: ENTG
- CMPスラリー、CMPパッド、洗浄・汚染制御製品はEntegrisで継続
- 旧CMCの電子薬品事業は2023年に富士フイルムへ7億ドルで売却された
- Entegrisの2026年第1四半期売上高は8億1,190万ドルで前年同期比5%増
CMC Materialsという企業名は消えましたが、CMPスラリーとパッドの技術はEntegrisの先端半導体材料事業の中核として引き継がれています。
※本記事は2026年7月14日時点の公開情報に基づきます。記載内容は投資助言ではありません。

