エヌビディア徹底解説:AI時代を牽引する半導体企業の強さと将来性

企業分析

エヌビディアってどんな会社ですか?

あさって
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この記事で分かること。

  • エヌビディアの事業全体像(Compute & Networking / Graphics)
  • Blackwell世代GPUとネットワーク(NVLink / Spectrum X)の要点
  • 最新決算の意味と市場機会(データセンター/ソブリンAI/自動車)
  • 主要競合との比較視点(GPU/ASIC/ソフトエコシステム)

あさって(@dopodomaniii)が解説します

世界Top3に入るファブレス半導体企業。ゲーム用ハイエンドPC、データセンター、自動車のインフォテインメント・システムなどGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット/画像処理半導体)の設計を手掛ける。近年は、高い性能を活かせる人工知能(AI)や自動運転など、より複雑で有利な収益機会となる分野に注力し事業を拡大している。 生成AIである「Chat(チャット)GPT」や、グーグルの「Gemini」(旧Bard)によって高い演算能力を持つ半導体の需要が増えるという見方からエヌビディアに注目が集まっています。

✔️ 会社概要(最短でつかむエヌビディア)

会社名Nvidia Corporation
(エヌビディア)
本社サンタクララ
(米国カリフォルニア州)
設立年1993年
CEOジェン・スン・フアン
(1993年4月–)
従業員数18,975人
(2021年1月31日現在) 
取引市場NASDAQ
証券コードNVDA
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の構成銘柄

あさって
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2022年6月に開く株主総会で発行可能な株式数を現在の40億株から80億株に倍増することを提案すると発表していた。株式分割の布石との見方もあります。

✔️ 事業セグメントと収益ドライバー

  • コンピューティング & ネットワーキング(Compute & Networking)
    • データセンター
    • ネットワーキング
    • 自動車
    • ロボット
    • 暗号通貨マインニングプロセッサ
  • グラフィックス(Graphics)
    • ゲーミングおよび PC 向け GeForce GPU
    • GeForce NOW ゲームストリーミング サービス
    • 仮想 GPU (vGPU) ソフトウェア
    • メタバース

✔️ Blackwell世代とAIインフラ(プロダクト要点)

GPU

  • 「GeForce」:PC向けグラフィックス
    • RTX 50 シリーズ(Blackwell) GDDR7 / 2025年1月~
    • RTX 40 シリーズ(Ada Lovelace) 4nm / 2022年10月~
  • 「NVIDIA RTX」(旧Quadro系):ワークステーション/ProViz向け
  • (レガシー)CMP HX:マイニング専用GPU(現行は新製品なし)
  • (レガシー)Tesla / 3D Vision:ブランド/製品は終了・移行済み
  • 「Tegra」:自動車/Jetson向けSoC(モバイル電話向けは終了)

PC向け向けGPU

世代コードネーム発売年プロセスノードアーキテクチャ用途
第1世代 RTXTuring (RTX 20)2018年12nm (TSMC)RTコア/Tensorコア初搭載レイトレーシング、DLSS 1
第2世代 RTXAmpere (RTX 30)2020年8nm (Samsung)RTコア第2世代/Tensorコア第3世代4Kゲーミング、DLSS 2
第3世代 RTXAda Lovelace (RTX 40)2022年TSMC 4NDLSS 3(フレーム生成)/RTコア第3世代高効率レンダリング、8K対応
第4世代 RTXBlackwell (RTX 50)2025年TSMC 3N系(製品により構成差)DLSS 4/GDDR7/RTコア第4世代次世代ゲーミング、生成AI支援
あさって
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 2017~2021年仮想通貨の採掘にGPUが使われることで、収益が増加しました。現在はAI需要が主となっています。

データセンター向けGPU

製品発売時期プロセスノードアーキテクチャメモリ主な用途
A1002020年7nm (TSMC)AmpereHBM2eAIトレーニング / HPC(当時の標準GPU)
H1002022年TSMC 4NHopperHBM3生成AI / LLM主力(Transformer Engine搭載)
2023年時点で1個当たり約3万〜4万ドルで取引
A8002022年(中国向け規制対応)7nm (TSMC)Ampere派生HBM2e(性能制限版)A100の性能制限版、中国市場向け
H8002023年(中国向け規制対応)TSMC 4NHopper派生HBM3(性能制限版)H100の性能制限版、中国市場向け
H2002024年Q2 提供開始TSMC 4NHopper改良HBM3e大規模AI学習向け(H100のメモリ強化版)
H202023年末〜2024年(中国向け)TSMC 4NHopper派生HBM3e(制限版)規制に準拠した中国市場向けH200派生品
B100 / B2002024年発表/2024後半~25年展開TSMC 3N系BlackwellHBM3e次世代AIトレーニング/推論、GB200構成にも採用
B202024年(中国向け)TSMC 3N系Blackwell派生HBM3e(制限版)中国市場向け性能制限版 Blackwell GPU
X1002025年予定未公表(次世代ノード想定)Blackwell派生または次期世代HBM4の可能性将来の生成AI / 推論専用GPU
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 エヌビディアは中国のAI半導体市場で約9割のシェアを誇っていました。しかし、米商務省は軍事転用の懸念を根拠に中国向けのAI半導体輸出に規制をかけ、2022年秋には「A100」「H100」などがその対象となりました。この規制に対応するため、エヌビディアは性能を低下させた「A800」「H800」などを中国に供給し始めました。

 しかし、2023年10月に施行された新たな規制で、これらの半導体の輸出自体が禁止されることとなりました。その後も同社は中国向けに規制に準拠した新型として「H20」「B20」などを投入しましたが、いずれもメモリ容量や通信帯域が制限されたモデルであり、米国側の規制強化によって供給が不安定な状況が続いています。

Data Center Platforms(データセンタープラットフォーム)

従来の「GPU単体」ではなく、CPUとGPUを一体化して大規模AI処理を最適化するソリューション群です。

世代コードネーム発売時期プロセスノード構成用途
Hopper世代GH200「Grace Hopper」2023年8月(発表)/2024年以降デリバリTSMC 4N (GPU) + Grace CPUGrace CPU + Hopper GPU + HBM3/3e(NVLink-C2C)生成AI/LLM、HPC(拡張GPUメモリ最大624GB級)
Blackwell世代GB200「Grace Blackwell」2024年発表/2024後半~25年展開TSMC 3N (GPU) + Grace CPUGrace CPU + Blackwell GPU(HBM3e、NVLink世代強化)次世代AIトレーニング/推論、DGX SuperPOD規模まで拡張

GPU単体 vs GB製品 比較表 (※GB=Grace Blackwell系統合プラットフォーム)

分類代表例構成特徴主な用途
GPU単体A100 / H100 / H200 / B100 / X100GPU + HBMメモリ
(CPUは別途用意)
・従来の「拡張カード」型
・PCIeやNVLinkでCPUと接続
・インテル/AMD/Grace CPUと自由に組み合わせ可能
・AIトレーニング
・HPC計算
・既存クラウドやオンプレ環境に追加導入
GB製品 (CPU+GPU統合)GH200 (Grace Hopper)
GB200 (Grace Blackwell)
ArmベースGrace CPU + GPU
HBM3/3eメモリ統合
・CPUとGPUを同一モジュールに統合
・NVLink-C2Cで直結、低レイテンシ・高帯域
・「1つのSoC」として動作
・生成AI (LLM学習・推論)
・スーパーコンピュータ (HPC)
・クラウド基盤全体のAI最適化

Interconnect solutions

  • NVLink / NVSwitch:GPU間を大帯域で直結しメモリ一体化を推進
  • Quantum-2 InfiniBand:大規模AIクラスタ向け低レイテンシ・高スループット
  • Spectrum-X(Ethernet+BlueField DPU):AI向けの損失/輻輳最適化Ethernet

✔️ 競合比較の見方

あさって
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同業のファブレス半導体企業や半導体企業以外もライバルになります。

✔️ 合併・買収戦略

  • 2024年4月 ランエーアイを買収すると発表 買収額は7億ドル(約1100億円)
    AIのデータ処理を効率化するソフトウエアを手がけるイスラエル新興
  • 2020年   メラノックス・テクノロジーズ 70億ドルで買収
    イスラエルの同業
  • 2020年9月 arm(アーム)を買収発表
    英政府の反対により2022年2月に買収中止を決定
  • 2020年4月 Mellanox   70億ドル

✔️ 製造拠点

ファブレス企業のため自社の製造拠点は保有していません。

前工程(ファンドリー)

  • TSMC
  • サムスン電子

後工程(OSAT)

  • ASE
  • Amkor
  • BYD Auto
  • Hon Hai Precision Industry
  • JSI Logistics
  • KYEC
  • Omni Logistics
  • SPIL
  • Wistron
あさって
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2022年ロシアでの活動を全面停止しました、従業員には他の国で仕事を続ける選択肢を与えオフィスも閉鎖ししました。

✔️ 最新決算の示唆(成長の“質”)

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 2025年5〜7月期決算は、売上高が前年同期比56%増の467億4300万ドル、純利益は59%増の264億2200万ドルだった。売上高、純利益ともに市場予想を上回り、四半期ベースで過去最高を更新した。一方で、データセンター向けの売上高は予想に届かず、8〜10月期の売上高見通しには中国向け製品「H20」の出荷を含めなかった。
2025年2〜4月期の売上高は前年同期比69%増で、主力のデータセンター向けは73%伸びた。5〜7月期の売上高見通しは中央値で50%増で市場予想に届かなかった。

 2024年11月〜25年1月期決算は、売上高が前年同期と比べ78%増の393億3100万ドル(約5兆8600億円)だった。純利益は80%増の220億9100万ドルだった。

 2024年8〜10月期決算は売上高が前年同期と比べ94%増の350億8200万ドル(約5兆4500億円)、純利益は約2倍の193億900万ドルだった。
 2024年5〜7月期決算は売上高が前年同期比2.2倍の300億4000万ドルと市場予想(287億4000万ドル)を上回った。

 2022年11月~23年1月期の売上高は前年同期比21%減の60億5100万ドルと、市場予想(60億2000万ドル)ほど減らなかった。部門別ではゲームが46%減の18億3100万ドルだったが、市場予想(15億9000万ドル)を上回った。自動車部門は市場予想を上回って大幅に伸びた。一方、データセンター部門は11%増の36億1600万ドルと、市場予想(38億5000万ドル)を下回った。純利益は53%減の14億1400万ドル。2023年2~4月期の売上高は65億ドル前後(市場予想は63億1000万ドル程度)との見通しを示した。売上高総利益率は64.1%と11~1月期(63.3%)から改善する見込み。

 2022年8~10月期決算は売上高が前年同期比17%減の59億3100万ドルだった。市場予想(57億8000万ドル)を上回った。19年以来3年ぶりに減収に転じた。部門別で売上高をみると、主力のデータセンターが31%増と市場予想より伸びたほか、自動車が86%増えた。一方、ゲームが51%減った。映像編集や3次元(3D)と拡張現実(AV)などの設計を含む企業向けプロフェッショナル・ビジュアリゼーションも65%減と不調だった。純利益は72%減の6億8000万ドル。11~1月期見通しで売上高の中心値は60億ドル。市場予想(60億7400万ドル)をやや下回った。売上高総利益率は5~7月期45.9%→8~10月期56.1%→11~1月期予想66.0%と急激に回復する。

2022年5~7月期の売上高を下方修正し、売上高は前年同期比3%増の67億400万ドルで、純利益は72%減の6億5600万ドルにとどまった。市場予想(81億2000万ドル)も下回った。ゲーム部門の売上高が20億4200万ドルと前年同期と比べて33%減り、全体を押し下げた。同部門は直前四半期の2~4月期比でも44%減った。ゲーム向けのGPUは20〜21年にかけて手に入りにくい状態が続いていたが、22年に入り流通在庫のだぶつきが目立っている。データセンター部門は61%増と四半期として過去最高を更新したが、供給網の混乱による部品不足が響き、会社予想を下回った。2022年8〜10月期の売上高が57億8200万~60億1800万ドルになりそうだと発表した。前年同期と比べて15~19%低い水準となる。市場予想では売上高は前年同期比4%増の74億ドルとなっていた。

2022年2~4月期決算は、売上高が前年同期比46%増の82億8800万ドルと8四半期連続で過去最高を更新した。市場予想(81億2300万ドル)を上回った。英半導体設計大手アームの買収中止に伴う違約金13億5000万ドルを計上したため純利益は15%減の16億1800万ドルとなったが、それを除けば順調だ。

2021年11月~22年1月期決算は、売上高が前年同期比53%増の76億4300万ドルと7四半期連続で過去最高となった。市場予想(74億2000万ドル)を上回った。22年2~4月期見通しも市場予想以上となった。

2021年8~10月期決算は、売上高が前年同期比50%増の71億300万ドルと6四半期連続で過去最高となった。

Nikkei
あさって
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近年はIntelより高いROAとなっていますね

他ファブレスとの比較

✔️ 株価

米国や欧州連合(EU)はウクライナ侵攻を続けるロシアに半導体や通信装置の輸出を禁止しているため消費者向け画像処理半導体(GPU)の注文取り消しが始まった。ロシアではパソコンでのゲームと暗号資産(仮想通貨)の採掘(マイニング)向けのGPUの需要が想定よりも大きく、輸出禁止がエヌビディアの売り上げの減少につながる可能性が高いという。コロナ禍で品薄だったゲーム向けGPUカードの供給が回復傾向にあり、一部小売店での在庫の積み増しが伝わった。一時ほぼ2倍となった販売価格が下落傾向にあり、収益増の勢いをそぐとの観測が浮上。仮想通貨のイーサリアムの採掘でGPUが将来的に不要となることも収益の重荷との見方もある。

Nikkei

2022年8月26日に米政府から中国とロシア向けの先端半導体出荷について新たなライセンス取得を課されたと公表した。2022年8~10月期の売上高見通しの7%に当たる4億ドルが中国向けで、ロシアの販売はない。エヌビディアに課された規制の根拠になったのは「輸出管理改革法」。2018年に米議会で成立した法律で、米国の安全保障にとって重要なものを規制対象とする。クラウドやデータセンター向け半導体では、規制が重荷となる中国向けで多少の悪影響はあるものの、中国のクラウド関係の顧客は「エヌビディア製品以外に選択肢がない」とみる。2022年8~10月期はGPUの先端製品で4億ドル程度の中国売上高を見込んでいた。

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あさって
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