✔️ パワー半導体新製造棟で生産能力2.5倍
半導体生産子会社の加賀東芝エレクトロニクス敷地内に新工場を建設します。新設するのはパワー半導体の製造棟で、全体の生産能力を従来目標にしていた1.9倍から2.5倍に高めます。加賀東芝では、既存建屋で22年10月~23年3月の稼働開始を目指し300mm対応した新製造ライン導入も進めていました。既存計画と合わせた全体での投資額は計約1300億円規模となります。新工場の製造装置は全て大口径の直径300mmのウェハーに対応した装置にします。現在主流の直径200mmウェハーに対応した装置と比べ、ウエハー1枚当たりで同種の製品を多く製造でき、生産効率が高まります。
✔️ SiCではなくシリコン パワー半導体
パワー半導体は電気自動車(EV)や通信・産業機器などの電力抑制に欠かせません。東芝によると、2030年のパワー半導体市場は約4兆円と2020年比で約2倍近くに伸びる見通しです。脱炭素の潮流が強まるなか、世界的な需要増加をにらみ、供給力を高める戦略となります。東芝のパワー半導体は自動車、電源、通信機器などに利用する250ボルト以下の低耐圧MOSFETが主力です。高出力に向いたSiC(炭化ケイ素)への投資が各パワー半導体企業で進んでいますが、東芝はSiCではなくシリコンのパワー半導体の生産能力向上へ取り組みます。