Wolfspeed(旧Cree)ってどんな会社?|SiC事業と再建後の最新動向

Wolfspeed(旧Cree)のSiC半導体とパワーモジュール 企業分析

Wolfspeed(ウルフスピード)は、炭化ケイ素(SiC)の材料からパワー半導体までを手掛ける米国企業です。旧社名はCree(クリー)で、LED・照明・RF事業を順次売却し、現在はSiCに特化しています。

2025年には米連邦破産法Chapter 11による財務再建を行いましたが、同年9月に手続きを完了して事業を継続しています。この記事では、社名変更、製品、工場、競合、再建後の業績まで、2026年7月時点の情報で解説します。

Wolfspeed(旧Cree)の会社概要

会社名Wolfspeed, Inc.
旧社名Cree, Inc.(クリー)
本社米国ノースカロライナ州ダーラム
設立1987年
CEORobert Feurle(2025年5月就任)
上場市場ニューヨーク証券取引所(NYSE)
証券コードWOLF
現在の主力事業SiC材料、SiCパワーデバイス、パワーモジュール

Creeは1987年に設立され、青色LEDやSiC基板で成長しました。その後、照明とLED事業を売却し、2021年10月に社名をWolfspeedへ変更しました。NASDAQの旧ティッカー「CREE」から、NYSEの「WOLF」へ移行しています。

CreeからWolfspeedへ変わった理由

社名変更は、LED企業からSiC半導体企業への事業転換を明確にするためです。主な流れは次のとおりです。

  • 2019年:照明製品事業をIDEAL Industriesへ売却
  • 2021年:LED製品事業をSMART Global Holdingsへ売却
  • 2021年10月:CreeからWolfspeedへ社名変更
  • 2023年12月:RF事業をMACOMへ売却
  • 現在:SiC材料とSiCパワーデバイスに集中

そのため、Wolfspeedを現在も「LEDとRFを主力とするCree」と説明するのは正確ではありません。RF事業の売却後、同社は自らをSiC専業メーカーと位置付けています。

出典:Wolfspeedの社名変更発表RF事業売却完了の発表

主力製品はSiC材料とパワー半導体

SiCは、従来のシリコンより高耐圧・高温動作・高速スイッチングに適したワイドバンドギャップ半導体です。電力変換時の損失を減らせるため、電気自動車、急速充電器、再生可能エネルギー、産業機器、AIデータセンターなどで採用が進んでいます。

  • SiC材料:SiC基板・エピタキシャル材料
  • ディスクリート製品:SiC MOSFET、ショットキーバリアダイオード
  • パワーモジュール:複数のSiCデバイスを組み込んだ電力変換用モジュール
  • Power Die:顧客が独自モジュールへ組み込むベアダイ製品

2026年5月には、送電網、産業電化、AIデータセンター向けとして商用10kV SiC MOSFETを発表しました。AIデータセンター関連はまだ全社に占める規模が大きくないものの、2026年度第3四半期には前四半期比で約30%成長しています。

Wolfspeedの主な製造拠点

拠点役割ポイント
ダーラム
ノースカロライナ州
SiC材料本社・研究開発拠点。2026年時点では材料生産へ重点を移行
Mohawk Valley Fab
ニューヨーク州マーシー
SiCパワーデバイス200mm対応の自動化ウェハ工場
John Palmour Manufacturing Center
ノースカロライナ州サイラーシティ
SiC材料大規模な200mm SiC材料工場として整備

Wolfspeedの戦略の中心は、材料からデバイスまでの垂直統合と200mm化です。ウェハーを大口径化できれば1枚から取れるチップ数を増やせますが、新工場の立ち上げには巨額投資が必要で、稼働率と歩留まりの改善が採算を左右します。

2025年のChapter 11と財務再建

WolfspeedはSiC需要の拡大を見込み、大規模な設備投資を進めました。しかしEV市場の成長鈍化、新工場の立ち上げ費用、低い設備稼働率、重い債務負担が重なり、2025年6月に米連邦破産法Chapter 11を申請しました。

これは清算ではなく、事業を継続しながら財務構造を立て直す手続きです。同社は2025年9月29日に再建手続きを完了し、総債務を約70%、年間現金利払いを約60%削減したと発表しました。2026年1月にはCFIUSの承認を受け、ルネサスへの株式発行を含む再建契約の主要手続きも完了しています。

出典:Wolfspeedの再建完了発表

2026年の最新業績

2026年度第3四半期(2026年3月29日まで)の売上高は1億5,020万ドル、GAAP粗利益率はマイナス27%、純損失は1億1,990万ドルでした。再建で利払い負担は軽くなりましたが、工場稼働率と製造コストの改善が引き続き必要です。

指標2026年度第3四半期
売上高1億5,020万ドル
GAAP粗利益率-27%
純損失1億1,990万ドル
AIデータセンター用途前四半期比 約30%増
出典:Wolfspeed Q3 FY2026 Earnings Release

競合企業

SiC市場では、材料供給能力、デバイス性能、自動車向け品質認証、長期供給契約、製造コストが競争軸になります。

Wolfspeedの強みと課題

強み課題
SiCで長い技術蓄積を持つ新工場の稼働率・歩留まり改善
材料からデバイスまで垂直統合赤字とマイナス粗利益率
200mm対応工場を先行整備EV需要の変動と価格競争
車載・産業・エネルギーに加えAI用途を開拓再建後の安定した資金運営

まとめ

  • Creeは2021年にWolfspeedへ社名変更
  • LED、照明、RF事業を売却し、SiC材料とパワー半導体へ集中
  • Mohawk Valleyの200mm工場とSiler Cityの材料工場が製造戦略の中心
  • 2025年9月にChapter 11から再建を完了
  • 2026年はAIデータセンター用途が成長する一方、収益性改善が最重要課題

Wolfspeedは「旧Cree」というだけでなく、SiC専業への転換と大規模投資、財務再建を経て次の成長段階を目指す企業です。今後は200mm工場の稼働率、粗利益率、EV以外の産業・AIデータセンター需要が注目点になります。

あさって
あさって

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