onsemi(旧ON Semiconductor)ってどんな会社?|車載・SiC・パワー半導体を解説

onsemi(旧ON Semiconductor)の車載・SiC・パワー半導体 企業分析

ON Semiconductorは2021年8月にブランド名を「onsemi(オンセミ)」へ変更しました。法人名はON Semiconductor Corporation、NASDAQの証券コードは「ON」のままです。

onsemiは、電力を効率よく制御する「インテリジェントパワー」と、周囲を認識する「インテリジェントセンシング」を主力とする米国半導体企業です。車載、産業機器、AIデータセンターを重点市場とし、SiCパワー半導体、MOSFET、IGBT、アナログIC、車載イメージセンサーなどを展開しています。

onsemi(旧ON Semiconductor)の会社概要

ブランド名onsemi(オンセミ)
法人名ON Semiconductor Corporation
本社米国アリゾナ州スコッツデール
設立1999年
社長兼CEOHassane El-Khoury(ハッサン・エルコーリー)
従業員数約26,000人
上場市場NASDAQ
証券コードON
2025年売上高約60億ドル
主力市場車載、産業、AIデータセンターなど

onsemiは、モトローラの半導体部門から1999年に分離して発足しました。その後、三洋半導体、Fairchild Semiconductor、GT Advanced Technologiesなどを取り込み、アナログ・パワー半導体とセンサーの事業基盤を拡大してきました。

ON Semiconductorからonsemiへ変わった理由

2021年のブランド変更は、製品を幅広く供給する半導体メーカーから、車両電動化、先進安全、再生可能エネルギー、工場自動化を支える「インテリジェントパワーとセンシング」の企業へ転換する姿勢を明確にするものでした。

  • 旧表記:ON Semiconductor、オン・セミコンダクター
  • 現在のブランド:onsemi、オンセミ
  • 変わらないもの:法人名ON Semiconductor Corporation、NASDAQの証券コードON

出典:onsemiのブランド変更発表

3つの事業グループ

事業グループ主な製品2026年第1四半期売上高
Power Solutions Group(PSG)SiC、IGBT、MOSFET、ダイオード、パワーモジュール7億3,660万ドル
Analog and Mixed-Signal Group(AMG)アナログIC、電源管理、インターフェース、モーター制御5億4,040万ドル
Intelligent Sensing Group(ISG)CMOSイメージセンサー、車載・産業向けセンシング2億3,630万ドル

旧記事で使われていた「Advanced Solutions Group(ASG)」は、現在の開示では「Analog and Mixed-Signal Group(AMG)」へ変わっています。2026年第1四半期はPSGが前年同期比14%増となり、全社成長をけん引しました。

車載市場が最大の売上分野

2025年の売上構成は、車載が51%、産業が28%、AIデータセンターやコンピューティングなどを含むその他が21%でした。車載と産業で約8割を占めます。

  • 電動化:EVインバーター、オンボードチャージャー、DC-DCコンバーター
  • 先進安全:ADAS用イメージセンサー、車載カメラ
  • 車載ネットワーク:ゾーンアーキテクチャ向けEthernet
  • 産業:モーター制御、ロボット、再生可能エネルギー、蓄電設備
  • AIデータセンター:電源変換、48V・高電圧電力供給、SiC JFET

2026年第1四半期には、AIデータセンター関連売上が前年同期比で2倍超、前四半期比で30%超増加しました。onsemiは車載・産業中心の構成を維持しながら、AIデータセンターの電力効率改善を新たな成長分野にしています。

EliteSiCでEVの高電圧化に対応

SiCは、従来のシリコンより高耐圧、高温動作、高速スイッチングに適したワイドバンドギャップ半導体です。電力変換損失を減らせるため、EVの航続距離延長、充電時間短縮、冷却機構の小型化に役立ちます。

  • EliteSiC MOSFET:EV駆動インバーター、急速充電、再生可能エネルギー
  • SiCダイオード:高効率な電力変換
  • SiC JFET:AIデータセンター電源、EVバッテリー遮断、産業用遮断器
  • 対応電圧:400Vから800V・900V級の車両アーキテクチャへ拡大

2026年にはNIOとの協業を拡大し、EliteSiCを900V EVプラットフォームへ採用すると発表しました。高電圧化により、充電速度と電力効率の向上を狙います。

SiCの垂直統合と製造拠点

onsemiはSiC材料からデバイス、モジュールまでを自社で管理する垂直統合を重視しています。2021年にSiC結晶技術を持つGT Advanced Technologiesを買収し、2025年にはQorvoからSiC JFET技術事業を1億1,500万ドルで取得しました。

拠点主な役割
Hudson(米国ニューハンプシャー州)SiC材料・技術
Bucheon(韓国)SiCパワー半導体、IGBT、アナログ製品
East Fishkill(米国ニューヨーク州)300mmウェハー製造、イメージセンサーなど
Gresham(米国オレゴン州)自動化ウェハーファブ
会津(日本)パワー・アナログ半導体のウェハー製造

同社は世界9カ国に19の製造拠点を持ちます。需要の変動が大きいSiCでは、垂直統合による供給安定とコスト低減が強みになる一方、工場稼働率と投資回収が課題になります。

2026年第1四半期の最新業績

指標2026年第1四半期
売上高15億1,330万ドル
GAAP粗利益率38.5%
GAAP営業利益率-3.5%
非GAAP営業利益率19.1%
GAAP純損失3,340万ドル
非GAAP純利益2億5,310万ドル
出典:onsemi 2026年第1四半期決算

売上高は前年同期比約5%増加しました。GAAPベースでは一時費用などにより営業赤字・最終赤字でしたが、非GAAP営業利益率は19.1%です。会社は需要が循環的な底を越えて回復に向かっているとの見方を示しています。

Synaptics買収計画はまだ完了していない

onsemiは2026年6月25日、Synapticsを株式交換により買収する最終契約を締結したと発表しました。企業価値は約70億ドルで、完了予定は2027年半ばです。

2026年7月14日時点では買収は未完了です。Synaptics株主の承認、規制当局の承認などが条件となります。完了すれば、onsemiのパワーとセンシングに、エッジAI演算、無線接続、ヒューマンマシンインターフェースが加わる計画です。

出典:onsemiとSynapticsの買収契約発表

主な競合企業

onsemiの強みと課題

強み課題
SiCを含む幅広いパワー半導体車載・産業市場の需要変動
車載イメージセンサーとセンシングSiCの価格競争と工場稼働率
材料からデバイスまでのSiC垂直統合大型設備投資の回収
車載、産業、AIデータセンターへの展開Synaptics買収の承認と統合リスク

まとめ

  • ON Semiconductorは2021年にブランド名をonsemiへ変更
  • インテリジェントパワーとセンシングが主力
  • 2025年売上高の51%が車載、28%が産業向け
  • EliteSiCでEVの800V・900V高電圧化に対応
  • 2026年第1四半期は売上が回復し、AIデータセンターが成長
  • Synaptics買収は2027年半ばの完了を目指す未完了案件

onsemiは、旧来のアナログ・ディスクリート半導体メーカーから、車載・産業・AI向けの電力制御とセンシングを組み合わせる企業へ転換しています。今後はSiC事業の収益性、AIデータセンターの成長、Synaptics買収の進捗が注目点です。

あさって
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