Infineon Technologiesは、XENSIV磁気センサーの製品群にトンネル磁気抵抗(TMR)センサーを追加した。高感度と高い信号対雑音比を生かし、小型磁石や大きなエアギャップを使う機器でも安定した位置・電流検出を目指す。ゲーム機器、ウェアラブル、車載、産業機器が主な用途だ。
Hallセンサーを補完するTMR
TMRは、磁界による抵抗変化を利用して角度や位置を電気信号に変換する。今回の発表は、Hall、GMR、AMRを置き換えるというより、設計条件に応じて選べるポートフォリオを広げるものだ。高い感度とS/Nにより、従来より小さな磁石で必要な分解能を確保しやすくなる。また、センサーと磁石の距離に余裕を持たせられるため、組み立て時の機械公差への対応にもつながる。
Vortex構造とモノリシック統合
Infineonは、独自のVortex構造とCMOS回路・TMR素子のモノリシック統合を特徴として挙げる。これにより、直線性、外部磁界への耐性、信号品質を高めるとしている。センサー単体の感度だけでなく、信号処理まで含めた実装のしやすさが、量産機器での採用を左右するポイントになる。
車載安全と低消費電力用途
車載向けTMRセンサーはISO 26262に沿って設計され、単一ダイでASIL D fail-safe、デュアルダイで最大2×ASIL D fail-operationalに対応する。ステアリングやアクチュエーターなど、位置を正確に把握し続ける必要がある領域で、安全設計の選択肢を増やす狙いだ。低消費電力が重視されるウェアラブルや、操作入力を小型化したいゲーム機器でも、TMRの高感度が有効になる。
まとめ
今回の追加は、磁気センサーを用途ごとに細かく最適化する流れを示す。TMRの高感度・高S/N、大きなエアギャップへの余裕、車載安全対応を一つの製品群で提示したことで、InfineonはXENSIVを位置・電流検出の幅広い設計に組み込みやすくした。実際の採用では、必要な磁石サイズ、温度範囲、外部磁界、認証レベルを比較し、HallやGMRとの使い分けを検討することになる。
出典:Infineon公式発表(2026年8月7日確認)

