ASML、EUV露光装置の生産能力を2027・2028年に30%増強へ AI向け半導体需要が押し上げ

企業分析

ASML(オランダの半導体露光装置大手、ASML Holding N.V.、Euronext Amsterdam: ASML)は、2026年第2四半期決算にあわせ、Low-NA EUV露光装置の生産能力を2027年・2028年にそれぞれ約30%増強する計画を明らかにしました。AI向け半導体需要の急拡大を受け、2026年通期の売上高見通しも上方修正されています。

この記事で分かること

  • ASMLが示したEUV・DUV露光装置の増産計画
  • 2026年第2四半期決算の主要数値と通期見通しの上方修正
  • 増産の背景にあるAI向け半導体需要と主要顧客の動向
  • 現時点で未確定な事項(2028年増強の正式決定、顧客別の配分)

概要

ASMLは2026年第2四半期決算で、売上高93.3億ユーロ(市場予想を上回る水準)、EPS7.59ユーロを計上したと発表しました。これを受けて2026年通期の売上高見通しを従来の360億〜400億ユーロ台から430億〜450億ユーロへ上方修正し、年内2回目となる大幅な上方修正となりました。第3四半期(7〜9月)については売上高110億〜120億ユーロ、粗利益率55〜57%を見込んでおり、下半期にかけて装置出荷が加速する見通しを示しています。

同時にASMLのCEOクリストフ・フーケ氏は、Low-NA EUV露光装置の生産能力を2026年の約65台から2027年に約30%増強する計画を説明しました。2028年についても、EUV・DUV(液浸露光装置)双方でさらに30%の追加増強を検討しているとしています。DUV液浸装置は現在年間約130台規模の生産能力があり、2027年・2028年も同様の増強を準備しているとされます。

詳細

複数メディアの報道で確認できた主なポイントは次の通りです。

  • Low-NA EUV露光装置の生産能力を2026年の約65台から2027年に約30%増強
  • 2028年もEUV・DUV双方でさらに30%の追加増強を検討中(正式コミットには至っていない)
  • 2027年増産分は既存顧客のコミットメントでほぼ埋まっているとの報道がある
  • 装置の製造・検査サイクルタイムを22週間から15〜16週間へ短縮する取り組みを推進
  • 2026年通期のEUV事業売上高は前年比45%の成長を見込む
  • Intelは次世代のHigh-NA EUV露光装置を、量産向けとして「Panther Lake」チップへ初めて実際に投入する計画

ASMLの直接顧客はTSMC、Samsung Foundry、Intel Foundryであり、CEOフーケ氏はTSMC・Samsung・SK Hynix・Micron・Intelといった主要顧客が軒並み生産能力の拡張計画を加速させていると説明しています。

業界への影響

EUV露光装置はASMLがほぼ独占的に供給する装置であり、その生産能力そのものが最先端半導体(AIアクセラレーター、先端ロジック、HBM向けメモリなど)全体の供給量の上限を事実上規定しています。AMD Instinct MI455XやNvidiaの次世代GPU、各社のAI向けサーバーCPUなど、2nm世代・HBM4世代の製品ロードマップが相次いで発表される中、ASMLの増産計画はこれらの供給制約が緩和されるかどうかを左右する要素です。

一方で、2027年分の増産能力が既に顧客コミットメントでほぼ埋まっているとの報道は、需要超過の状態が当面続く可能性を示唆しています。2028年の追加増強が正式決定されるかどうかは、今後のASMLの決算発表で継続的に確認する必要があります。

日本との関係

現時点で確認できた資料の範囲では、ASMLのEUV増産計画において日本企業への具体的な発注拡大が明示されているわけではありません。ただし、ASMLのEUV露光装置は、レーザー光源(Cymer、米国子会社)以外にも、光学部品やレジスト材料、洗浄・検査装置など日本メーカーが強みを持つ工程で構成されるサプライチェーンに支えられています。装置の増産ペースが上がれば、関連する日本の部材・材料メーカーの受注動向にも波及する可能性があり、今後の決算や設備投資計画を注視する価値があります。

今後の見通し

  • 2028年増強の正式決定時期
  • TSMC・Samsung・Intelなど主要顧客への配分計画の詳細
  • High-NA EUVの量産適用範囲(Intel以外への拡大時期)
  • 製造・検査サイクルタイム短縮(22週間→15〜16週間)の達成状況
  • 日本の関連部材・材料メーカーへの発注動向

これらが明らかになった段階で、本記事を更新します。

まとめ

ASMLは2026年第2四半期決算で通期見通しを上方修正すると同時に、Low-NA EUV露光装置の生産能力を2027年に約30%、2028年にもさらに30%増強する計画を示しました。AI向け半導体需要の急拡大が背景にあり、TSMC・Samsung・Intelなど主要顧客の設備投資拡大が装置需要を押し上げています。2028年増強の正式決定や顧客別の配分計画など未確定な事項も多く、今後の発表を継続して確認する必要があります。

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