NVIDIAのフラッグシップGPU「GeForce RTX 5090」の実売価格が高騰を続けている。ドイツの価格比較データによると欧州での最安値は4,250ユーロ以上、新規出品の中央値は5,000ユーロを超えた。NVIDIA公式ストアでも2026年8月5日時点で4,929.99ドルに達し、2025年1月の発売時希望小売価格1,999ドルからおよそ2倍に上昇している。背景にあるのは、AIデータセンター向けHBM(広帯域幅メモリ)の生産にSamsung・SK Hynix・Micronが製造能力を優先配分したことによるGDDR7不足で、RTX 5090が搭載する32GBのGDDR7は消費者向けメモリの中でも特に供給が逼迫している種類だとされる(GPU業界全体のメモリ不足については、Radeon GPUの値上げを扱ったこちらの記事も参照)。
この記事で分かること
- RTX 5090の実売価格が発売時からどこまで上昇したか
- GDDR7不足という値上がりの根本原因
- VRAMコストがGPU原価に占める割合の変化
概要
RTX 5090は2025年夏の一時期、公式価格を下回る取引も見られたが、2026年2月の限定的な販売以降は市場価格が継続的に上昇している。6月中旬には既に約4,000ユーロに達しており、その後も上昇が続いている。RTX 5080からRTX 5060 Tiまで下位モデルを含むRTX 50シリーズ全体で同様の値上がり傾向がみられる。
詳細
以下は複数の独立した情報源で確認された事実である。
- 欧州での実売最安値は4,250ユーロ以上、新規出品の中央値は5,000ユーロを超えている(ComputerBaseの独自価格追跡データより)
- NVIDIA公式ストアでも2026年8月5日時点で4,929.99ドルに達し、2025年1月発売時の希望小売価格1,999ドルからおよそ2倍に上昇した
- 韓国では一部小売店でRTX 5090が約5,112ドルに達し、RTX 50シリーズ全体で最大30%の値上がりが確認されている
- 値上がりの主因はGDDR7メモリの不足で、Samsung・SK Hynix・MicronがAIデータセンター向けHBM生産へ製造能力を優先配分した結果、コンシューマー向けGDDR6・GDDR7の供給が細っている
- 高性能GPUの部材コストに占めるVRAMの割合は80%を超えており、あるメモリ構成は値上がり前の約80〜100ドルから最大320ドルまで上昇したと分析されている
- TrendForce・IDC・Intelなどのアナリストは、メモリ供給が実質的に正常化するのは2027年か2028年になるとみており、2026年第4四半期までにさらなる値上げが起きる可能性の方が高いとしている
業界への影響
RTX 5090の価格高騰は、AMD Radeonシリーズの値上げと同じくAI関連需要によるメモリ供給網の逼迫を映す動きであり、GPUベンダー1社の値付け戦略にとどまらない構造的な問題である。NVIDIA・AMDの2大GPUベンダーがそろって値上げに動き、かつアナリストの見立てでは供給正常化が2027〜2028年までかかるとされていることから、ハイエンドGPUの高価格は当面続く可能性が高い。
日本との関係
今回確認できた情報の範囲では、日本企業への直接の言及はない。ただし、Samsung・SK Hynix・Micronという主要メモリメーカーの生産配分がGPU価格に直結している構図は、日本国内のPCパーツ市場やゲーミングPC需要にも同様に波及するとみられる。国内の実売価格動向を引き続き注視する必要がある。
今後の見通し
- 日本を含む各国市場での実売価格への反映状況
- GDDR7を含むメモリ供給が2027〜2028年に向けてどう推移するか
- RTX 50シリーズの下位モデル(RTX 5080以下)への値上げの波及度合い
- NVIDIAが公式に価格改定を発表するかどうか
これらの動向については、続報が入り次第この記事を更新する。
まとめ
GeForce RTX 5090の実売価格は、発売時の希望小売価格1,999ドルからおよそ2倍の5,000ドル前後まで上昇した。背景にはAIデータセンター向けHBM生産への製造能力優先配分によるGDDR7不足があり、VRAMだけで高性能GPUの原価の8割以上を占める状況になっている。アナリストの見立てでは供給正常化は2027〜2028年までかかるとされ、ハイエンドGPUの価格動向は当面注視が必要だ。

